油圧回路や空気圧回路の切り替えに使われるのがソレノイドバルブです。
回路の点検や修理には必須の知識なので自分の知識にしましょう。
初心者や学習中の方向けにわかりやすく説明していきたいと思います。
ソレノイドバルブ
油圧アクチュエーターの動作や回転方向を切り替える働きをするのが
電磁弁(ソレノイドバルブ)です。
ソレノイド(電磁石)のオンとオフでスプールを動かしてバルブ内部の
流路の切り替えを行います。
ソレノイドを使用せずに油圧(パイロット圧)を使ってバルブを切り替えるタイプもあります。
ポート
バルブの流体の出入り口をポートといいます。
Pポート:ポンプ側からきているポートです。基本的にここに油圧が送られてきます。
Tポート:タンクにつながるポートです。タンクへ油を戻すためのポートです。
Aポート・Bポート:シリンダーやモーターにつながるポートです。ここから出た作動油が
実際にアクチュエーターを駆動します。
切換方式
ソレノイドコイルの電気を入り切りするタイプを直動式
こちらは動作の応答性がいいです。
バルブ切換用の油圧ラインを使って切り替えるパイロット式
こちらはパイロット回路の油圧によってバルブを動作させます。
スプールを動かすための油圧をパイロット圧といいます。
ソレノイドコイル
電磁弁を切り替えるためのコイル(電磁石)をソレノイドコイルといいます。
二本のピンが端子になっていて電源が接続されると電磁石になりスプールを引き付けて
バルブを切り替えます。
黒い本体の内部にコイルが巻かれています。
中央はスプールが入るので空洞になっています。
手前側の金属製の棒体部(スプール)に
ソレノイドコイルを差し込みます。
表面の傷や異物の付着の内容に注意します。
通常は奥まで挿入されて固定されています。
劣化して破損したソレノイドコイル
電磁弁に接続されているヒューズが溶断する故障がありました。
コイルに通電するたびにヒューズが溶断してしまいます。
内部がひび割れてボロボロになっています。
そのため内部の導線も露出している部分がありました。
正常なコイルでは接触面はなめらかです。
正常なコイルの抵抗値はテスターで計測するとおよそ88Ωぐらいでしたが、
この破損したコイルは4Ω程度しかありませんでした。
屋外で使用されていたユニットのため、ひび割れから水が入ったりしたせいで内部の導線が短絡状態になっていると考えられます。このためヒューズが溶断したと思われます。
経年劣化したコイルの発熱や取付の緩みなどにより内部の接触面が損傷されていきます。
シングルタイプ
2位置シングル4ポートのスプリングリターンのバルブ構成です。
ソレノイドが右側の赤丸の部分になります。
右側にしかソレノイドがないのでシングルタイプになります。
長方形の中に斜線で直動式を表します。
ソレノイドのオンとオフで二つの位置を切り替えます。
上図のようにカタログ等に記載されているのはコイルの非通電時の状態です。
コイルの非通電時は左側のスプリングの力によってこのポジションになります。
Pポートから来た油はAポートから出ていきます。そしてBポートからTポート
を出てタンクへ戻ります。
ソレノイドコイルの通電時はこのように流路が切り替わります。
AポートとBポートの流れの向きが反対になるので動作の方向も反対になります。
ソレノイドコイルをオフにするとスプリングによって元の位置へ戻ります。
ダブルタイプ
3位置ダブル4ポートのスプリングリターンタイプです。
ダブルタイプは両サイドにソレノイドコイルが取り付けられています。
ソレノイドコイルがオフの状態では左右のスプリングによってセンター位置になります。
この状態ではポンプからの作動油はバルブでストップします。
この先にパイロットチェック弁が取り付けられるとアクチュエーターをロックするロッキング回路の構成ができます。
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