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【初心者向け】基本的な変圧器(トランス)の原理

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電気
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変圧器は電磁誘導を使って交流の電圧を上げたり下げたりする用途で使用されます。
電磁誘導はコイルを貫く電流が変化するときに起こる現象です。
一次側と二次側のコイルの巻き数によって二次側に発生する電圧が変化します。

直流では電流の変化がなく磁束の変化が起きないのでトランスによる電圧の変換はできません。

ヒステリシスループ【磁化曲線】を簡単に説明
鉄などの強磁性体を磁界中に置くと磁化されます。 磁界を強めていくと磁束密度は増加していきますが 磁束密度の大きさは徐々に変化が緩やかになっていき、 ある点でそれ以上増えなくなる飽和点に達します。 これを磁気飽和といいます。 ...

変圧器の原理

鉄心と巻線

トランスの動作概要

図のような鉄心に二組の巻線(N1とN2)を準備します。

交流電源を接続して巻線N1に電流が流れると右ネジの法則に従って
磁束Φが発生します。この磁束は鉄心の中に束ねられます。

交流電源なので電流の向きが変化するたびに
磁束の向きと強さは周期的に変化します。(電流の向きが逆になれば磁束の向きも逆になります。)
このような磁界を交番磁束と言います。

電磁誘導

コイル内部の磁束の変化があるとコイルに起電力が発生する現象のこと
をいいます。

発生する起電力を大きくするには
・巻線の巻数を増やす
・磁束の変化をより早くする
・磁束を強くする

そしてこの時に発生する電流を誘導電流といいます。

二次側の電磁誘導

N1(電源側)の巻線によって発生した交番磁束はN2(負荷側)の巻線を
貫いて周期的向きが変化していきます。
この磁束の変化によって二次側巻線に起電力が発生します。

交流電流は周期的に向きが入れ替わります。このため発生する磁束の向きも周期的に入れ替わります。このため二次側に発生する電流も周期的に変化し、周波数は一時側と同じ周波数になります。

この作用を利用して変圧器として機能します。

変圧器の巻線比・変圧比

二次側の巻数を増やすほど二次側には大きな電圧が発生します。
その大きさは巻数の比と等しくなります。

一次側に10巻、二次側に20巻きでは二次側に2倍の電圧
一次側に10巻、二次側に100巻きでは二次側に10倍の電圧

したがって一次側と二次側の電圧比(変圧比)と巻線比は等しくなります。

トランスに直流を接続した場合

トランスの一時側に直流電源を接続すると二次側には磁束が通過した瞬間だけ逆起電力が発生します。
直流では電流の向きが変わらないために磁束の変化が起こらないためです。

直流では一次側コイルに電流を流し続ける短絡状態になるためにコイルが過熱し焼損につながります。

トランスで変圧できるのは交流のみですので変圧の原理を知ったうえで
安易に直流をつながないようにしましょう。

変圧器で生じる損失

変圧器で発生する損失には鉄損銅損があります。

変圧器は鉄心とコイル(銅線)で構成されています。

鉄心で生じる損失を鉄損といい、コイルで生じる損失を銅損といいます。

鉄損(無負荷損)

トランスに接続される負荷に左右されない損失です。
負荷が接続されていなくても生じる損失になります。

鉄損にはヒステリシス損と渦電流損があります。

ヒステリシス損は電圧の二乗に比例し、周波数に反比例します。
渦電流損は電圧の二乗に比例し、周波数は無関係です。

銅損(負荷損)

二次側に負荷を接続したときに流れる負荷電流によって発生する損失です。
一次巻線と二次巻線に発生するジュール損失を銅損といいます。
銅損は負荷電流の二乗に比例します。

変圧器の効率

変圧器の効率は入力と出力の比で表されます。

入力は測定が難しいので、入力=出力損失(鉄損+銅損)

変圧器が最大効率になるのは鉄損=銅損の時です。

 

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