エンジンは外部から力を与えないと始動することができません。
その仕事を行うのがセルモーターですが始動には大きな電流が必要です。
それをまかなうのが鉛バッテリーです。内部抵抗が低く大電流を放出することが得意です。その反面急速充電に不向きといった特性があります。
電解液の温度が高いと化学反応が活発になり端子電圧は上昇します。
温度が低いと端子電圧が下がります。
電気を生み出すしくみ
金属製の正極板(二酸化鉛)と負極板(鉛)が電解液(希硫酸)に浸かっています。
この間で起こる化学反応を利用して電気エネルギーを取り出しています。
異なる二種類の金属の電極間で発生する電圧は使用される金属の種類で
決まりますが、一般的な鉛バッテリーで使用されている二酸化鉛と鉛では2.1Vが
発生します。この1つの組み合わせをセルと呼びます。
12Vのバッテリーでは6個のセルを直列に並べることで12Vを取り出しています。
テスターで電圧を測ると2.1Vのセルが6個なので12.6Vが表示されることになります。
放電の反応
正極にはイオン化しにくい金属、負極にはイオン化しやすい金属が使用されています。
電子の移動は負極から正極に移動します。電流の流れは電子の移動と逆方向とされています。
負極
希硫酸と負極の鉛は反応しやすくこの時に鉛は電子を放して電解液中にの硫酸と繋がろうします。
負極板には鉛と硫酸が反応した結果、表面に硫酸鉛が付着して電子が極内に残ります。
電解液
電解液中の希硫酸の濃度は水が精製されて硫酸が反応に使われていくので
比重が低下していきます。
正極
負極板の電子は導線を通って正極へ移動します。
電子の移動が電流となります。
陽極では電解液中の水素が電子を受け取って水素ガスとなりますが、
正極の二酸化鉛と反応して水(H2O)と
鉛イオンになります。さらに鉛イオンは硫酸イオンと反応して硫酸鉛を精製します。
比重の測定方法
電解液中の硫酸の濃度を確認します。
比重の変化によってバッテリーの充電状態のチェックができます。
放電後は電解液中に水が生成され相対的に硫酸濃度が低下し、比重が低下します。
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比重計を使用して電解液の状態をチェックします。
バッテリーのセルのキャップを外して比重計を準備します。比重計はスポイトのように
上部のゴム球を押して電解液を吸い込み、内部の重りの浮き具合を確認します。
ゴム球はあらかじめ潰してからゆっくり電解液を吸い込みましょう。
電解液中でゴム球をつぶすと電解液が飛び散って危険です。
バッテリーの全部のセルの比重の計測を行います。
写真では液面が緑のエリアに入っているので
充電状態は良好です。
緑のエリアを外れていると充電が必要です。
充電しても比重が上がらない場合は
電極の劣化やサルフェーションなどの
原因が考えられるので
バッテリーの交換が必要になります。
充電の反応
エンジン運転中はオルタネーターで電気を起こしているので、この電気で
充電します。放電時の逆の反応が起こります。
正極では硫酸鉛と水が反応して、水素イオンが放出されるので二酸化鉛ができます。
負極では硫酸鉛から硫酸イオンが放出されるので鉛にもどります。
この反応で電極板は放電前の状態に戻り電解液の濃度も元に戻り、また放電が可能になります。
サルフェーション
放電の時の電子の移動に伴って電極の表面に硫酸鉛(非伝導性結晶被膜)が精製されていきます。
適正なサイクルで充電と放電を繰り返すと表面の硫酸鉛は分解されるので電解液中に戻ります。
長期間自然放電が続いて完全放電したバッテリーや放電と充電の繰り返した古いバッテリーは硫酸鉛が硬質化して電極にこびりついた状態なってしまいます。
硬質化した硫酸鉛は電子の移動を阻害するのでバッテリー容量の低下を招き
放電力が低下します。
エンジンを始動するときにはセルモーターをバッテリーで駆動しますが、
大きな電流が必要になります。放電力の低下はエンジンの始動不良につながります。
一度硬質化してしまうと通常の充電では分解できないので、バッテリー交換が
必要になります。
パルス充電器
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