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三相誘導電動機の原理【現場エンジニア向け】

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電気
この記事は約3分で読めます。

多くの場所で使用されている誘導モーターは点検や修理でかかわることも
思います。

三相誘導電動機は一般的に構造が簡単なので保守が簡単で
長寿命なモーターです。
インバーターと合わせて幅広く速度調整が可能です。
始動電流が大きくなる理由も説明しています。

交流モーター開放

 

原理

固定子(ステーター)には三組のコイルを使用します。
それぞれのコイルは120°ずつずらして設置されます。そこに
三相交流を流すと回転磁界が発生します。

回転磁界は三組のコイルに三相交流を流すとコイルの両端にできる
N極とS極が次々に切り替わりながら回転する磁界を作り出します。

電流によって発生する磁界の説明はこちら

固定子の内側に回転子(ローター)が有ります。
かご型回転子は金属棒の両端を短絡環で繋いで鳥かごのような形状を
しています


固定子に回転磁界が発生すると回転しながら変化する磁界の中に
置かれている回転子には電流が発生します。
回転子に誘導電流が発生するのがポイントです。
この発生した電流と回転磁界の間にフレミングの左手の法則により
回転トルクが発生します。

回転磁界によって回転子に電流が発生する為に回転子の速度は
回転磁界よりも必ず遅れて回ります。

回転子の方が回転磁界の速度を追い越すと発電機になります。
(回転子に外部から機械的エネルギーを与えている場合)

回転磁界の速度は同期速度といいます。
同期速度=(120×周波数)÷極数
単位はrpm(一分間の回転数です)

同期速度と回転子の実回転数の差を滑りといいます。

滑り=(同期速度-実回転数)÷同期速度

起動時は実回転数が0のため滑りは1です。そこから回転数が
上がっていくので徐々にすべりは0に近づいていきますが、
同期速度に追いつくことはできないので0にはなりません。
滑りがマイナスになると発電機となります。

同期速度と実回転数が同じとき

回転磁界と回転子の速度が等しくなることはありませんが、
この時には回転磁界と回転子の相対速度が無くなる(実質的に
回転子の磁束の変化がない状態)ので
回転子導体に電流が発生しなくなり、左手の法則による回転トルクも
発生しなくなるということです。

誘導モーターの始動電流

固定子のコイル発生する磁束が回転子に尤度王電流が発生する仕組みは
変圧器と同じ原理を使用しています。
回転子は変圧器で考えると二次巻線を短絡している状態です。

始動時は回転子は回転していないので発生する逆起電力は0です。(滑りが1)
固定子電流に対抗して流れる電流が発生していないため、一次側に対抗する逆起電力が発生していません。
このため始動時は電源側から流れ込む電流が大きくなります。
(この時に回転子に発生する誘導電流がもっとも大きくなります)
回転子に誘導電流が発生し始める(滑りが0にむかっていく)と電源側に対抗する方向に電流が発生して徐々に電流値が下がっていきます。

モーターの負荷が重たい状態やベアリング等がロックしている場合でも
回転子と回転磁界の速度差が大きくなり始動時に大きな電流が流れるのと
似た状態なります。
大きな電流が固定子に流れ続けると発熱量が大きくなり巻線の絶縁材料を
破壊してしまいます。

細かい断続動作も始動電流が繰り返し流れるので発熱の原因になります。
サーマルリレーを保護回路として設置することで加熱から保護できます。

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