故障の対応は大変プレッシャーのかかる場面です。お客さんからはいつ直るの?すぐ直せ!などのさまざまな声が聞こえていきます。そんなときにできるだけおちついて行動できるように自分の経験にもとづいてわかりやすく解説してみたいと思います。
電磁接触器は負荷の動作を制御する重要な機器です。
電磁接触器の故障によって動作に支障が出ることがあります。
様々なケースが考えらますがいくつかのケースに
わけて現場での対応について説明していきます。
コイルが引き付けない(中央部が下がらない)
このような不具合は可動接点を動作させる内部のコイル(電磁石)の動作に問題がある可能性があります。
調査時には感電しない様、注意が必要です。
動作中のコイルに電圧が来ているかの計測をテスターを用いて行います。
定格の電圧がきていないとコイルが鉄心を引き付けないので動作しません。
A1とA2の端子の電圧を計測します。
直流か交流かはその時の回路によって
違うので調べてから計測しましょう。
電磁接触器の構造は機種によって
異なります。コイルの端子をよく確認しましょう。
もしコイル端子に電圧が来ていない場合は、電磁接触器の動作条件が成立しているかを確認します。
サーマルリレーが動作している。PLCからの出力の有無等を確認します。
内部のコイルはこのようになっています。
このテスターはテスト棒を本体に固定して計測できるので、
両手でテスト棒を当てた時に本体が宙ぶらりんにならず、計測値を見ながらの計測がとても楽になるのでお勧めです。
サーマルリレーによる保護
電磁接触器と負荷との間にサーマルリレーが設置されている場合は
サーマルリレーのトリップを確認してください。トリップしているのは
過電流が流れる原因があるはずです。
機器を保護するためにコンタクターがオンしないように回路が構成されて
いることもあります。
過負荷の原因を調べて可能であれば原因を解消してからから運転を再開します。
コイル電圧に異常がないにも関わらず動作しない時は、
コイルの導通を計測してください。導通を確認するときは
電源電圧が来ていない状態で、端子を解線してコイル単独の導通をチェックします。コイルの導通がなければ、断線しているので、電磁石の働きができなくなっています。
コイル側には何も異常が見られない場合
落ち着いて作業前に確認
まず電磁接触器の一次側にきちんと電圧が来ているか確認してみましょう。故障時など焦っているケースでは単純なことを見落として、復旧に時間がかかることがあります。
(上流側のブレーカートリップなど)
熱による変形
電圧が正常に確認できれば、一度上流側のブレーカーを落とし中央の黒い部分(へそ)を押してみます。内部に熱などで変形等があれば動作が固かったり引っかかりで
可動接点の引き付けがうまくできない場合があります。
あるいは過大な電流により接点同士が溶着していて導通が切れないような
症状もあります。
電磁接触器接点不具合
動作回数が多い電磁接触器ではオンからオフの切り替え時に発生する火花(アーク)によって接点が破損したり、摩耗によって接点の接触が悪くなることがあります。
これは主回路の1相づつ、一次側と二次側にテスターの導通チェックを当てながら、へそを押してオンオフの切り替わりを点検することで分かります。(3相ともおこないます。)
コンタクターの下に鉄粉がたまっていれば接点の摩耗によるものと考えられます。
黒く焼けている接点は劣化により端子が摩耗しています。
接触時の摩耗と解放時の熱などで接点は徐々に減っていきます。
正常な接点と比べると薄くなっています。このためコイルがオンしていても
接点同士の接触がよくないことがあります。
異音(ジィー)が発生している場合
コイル電源が交流の場合
交流電源の場合はコイルの吸引力が周期的に変化するので、鉄芯は微振動を
しています。摩耗によりこの振動が大きくなってくると異音が大きくなってきます。
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